シロヘリミドリツノカナブンの飼育

Dicronorhina derbyana ssp.

この記事を書いた隊士:λ(lambda)

 

主な生息地:サハラ砂漠以南(コンゴ民主共和国、ウガンダ、ケニア、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、アンゴラ、ザンビア、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、レソト、スワジランド、南アフリカ共和国)

かなりの広域分布種ですが国内で流通するラベルの殆どがタンザニア産です。

 

・シロヘリミドリツノカナブンってどんな虫?

アフリカ サハラ以南に生息するカナブン・ハナムグリの一種です。[図1]

美麗な体色や柄、王冠状の頭角といった魅力的な外見や飼育が容易なことからか飼育人口はそれなりに多いです。

成熟したオスからは桃の香りがすることで有名です。(この点も本種の人気を底上げしていると思われます)

それでは飼育方法を見ていきましょう。

 

 

[図1]シロヘリミドリツノカナブン

 

 

 

・生体の入手

埼玉烈風隊ブースで購入可能です。(基本的に毎回持っていきます)

市場の流通数は少なくない種類なので基本的に年中専門店や通販、オークションなどでも入手が可能です。

野外生体の国内入荷は不定期です。また国内に入荷される主産地のタンザニア タンガ州 ウサンバラ山は2亜種が混生し、中間型が得られるポイントですので純血至上主義の方にはあまりお勧めできません。(タンザニアにおける中間型が得られる話は http://repository.naturalis.nl/document/148835 が詳しいです。気になる方は是非チェックしてみてください)

筆者は純血に拘らないのでウサンバラ山のシロヘリも飼育しています。

シロヘリの地域変異や自然交雑地域の推移について書き出すとそれだけで1ページできてしまうので今回は飼育についてのみ紹介します。

 

様々な色や柄の血統が存在するので好みのものを入手、飼育するといいでしょう。[図2]

 

[図2]本種はとてもバリエーションに富んでいる

 

 

 

 

 

・産卵セット

本種の産卵は非常に容易です。

針葉樹製の成虫管理用マットでも産卵させることが可能なほど簡単に産みますが、ここでは広葉樹マットでの産卵セットを紹介します。

筆者ファームではRush様のレギュラーマットを4.2Lタッパー容器(コバエシャッター小相当)に底面から高さ8cmになるようふんわりと入れた簡素なセットを用いています。転倒防止用に人工芝や鉢底ネットを適度な大きさに切ったものを入れると良いでしょう。[図3]

餌は市販の昆虫ゼリーであればどれでも問題ないです。本種は種持ちが悪いのでオスとメスを一緒に産卵セットへ投入します。[図4]

最近の実験で同居後2週間程度でオスを取り出してしまったほうが産卵数が増える傾向が確認されつつあります。(試行数が少ないのでまだまだ分かりませんが…)

今後はベターとされてきた同居産卵の常識は変わるかもしれません。

 

セットから1ヶ月~1ヶ月半ほどしたらオスとメスを取り出して、同様のセットを作って投入し更に産卵させます。

卵から管理したい方は2週間スパンで採卵してもいいでしょう。(この場合は産卵セットは1つで済むので省スペースです)

筆者は卵管理が下手なのと、セット数が多い関係で採卵は行っていません。産卵セットごと交換していき孵化まで放置します。(少ないときでも20セット近く組むので採卵の余裕がないのもあります)

 

産卵セットの管理温度は24℃~30℃がベストです。蒸れないよう容器の通気は良くしておきましょう。

成虫の寿命は3ヶ月~4ヶ月と言われています。(あくまでも指標であり、2ヶ月もしないで死んでしまう個体や半年以上生きる個体もいます)

産卵数の目標は1メスにつき80~120個です。一説によれば1メスが200個の卵を産むらしいですが余程良い個体を引いて真剣に採卵しないと達成は困難かと思います。シロヘリの飼育におけるチャレンジポイントですので興味のある方は挑戦してみましょう。

 

[図3]産卵セット

 

 

 

 

[図4]産卵セットにはオスメス一緒に投入する

 

 

 

 

・幼虫の飼育

本種は幼虫の飼育も容易です。多頭飼育が可能で4.2Lタッパー容器(コバエシャッター小相当)で8頭を羽化まで飼育できます。

発酵マットや広葉樹腐葉土であれば何でも食べます。(クワガタの使用済みマットなどでも大丈夫です)お勧めはRush様のレギュラーマットです。水分量等は調整せずそのまま使用してください。

本種は孵化後8ヶ月~10ヶ月でマットで繭玉を作りその中で蛹になります。その際に微粒子のマットだと繭玉が脆くなってしまうので上記のマットをお勧めします。(コストパフォーマンスも良いです)

3齢中期まではクワガタの使用済みマットなどを食べさせて3齢後期からは上記のマットに切り替える飼育が一番安上がりかと思います。(筆者ファームでは現在シロヘリ以外の種類を飼育していないので基本的に初齢からRush様のレギュラーマットを使用しています)

 

繭玉を作ってから2ヶ月しないくらいで成虫が羽化して繭玉から脱出してきます。このとき繭玉が乾燥し過ぎていると成虫が自力で脱出できないので注意が必要です。その場合には繭玉を割って成虫を取り出してあげましょう。(繭玉を軽く揺らすことで繭玉の中の蛹が羽化しているか確認できます。コロコロと音がする場合はまだ蛹です。振っても音がしない場合は前蛹か成虫なので繭玉に小さな穴を開けて中を確認してみましょう。)[図5]

幼虫・蛹の管理温度は15℃~30℃です。成虫同様蒸れないように容器の通気は良くしておきましょう。マットの上部2cmは容器内に空間を確保しておくと通気が良くなり安心です。[図6]

 

自力で脱出してきた成虫は既に成熟しているのですぐに後食します。

この場合すぐにブリードできますので上述の産卵セットを参考にブリードしてみましょう。

 

[図5]繭玉から体を覗かせる美しい新成虫

 

 

 

[図6]容器の上部2cmは通気を良くするために空ける

 

 

 

 

・最後に

本種はペット昆虫として最も優れていると筆者は考えています。

飼育の容易さやコレクション性の高さがその理由です。

埼玉烈風隊ブースで毎回販売しますので是非本種を手にとってみてください。